1日中ゴロゴロしてた婆さんが一念発起。筋トレに励む瀧島未香さん（90）「年齢はただの数字」

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こんなに動けて90歳　インストラクターのタキミカさん

「年齢はただの数字です！」。笑顔とガッツポーズで始まる動画の主役は、90歳のフィットネスインストラクター瀧島未香さん。コロナ下、自宅でできる運動法をユーチューブで配信すると、話題になった。
「ちょっとした段差につまずいちゃうのよね。転倒防止に足首の体操をしましょう」
関節や肩甲骨を回す体操や、寝る前に5分でできる筋トレを紹介する。「タキミカ」の愛称で、テレビや雑誌にも出るようになった。
自身は、20キロの重りをつけたバーベルを挙げ、スクワットができる。脚はほぼ180度まで開き、そのまま胸が床につく。しかし、指導する立場になったのはほんの3年前のこと。なぜここまでになったのか。
運動部の経験はない。百貨店で勤め、結婚後は家事と子育てに専念した。子が実家を出て夫婦の生活に戻ると、時間をもて余し、一日中ゴロゴロ。「ぶくぶく太った」
家族に指摘され、自分のことが嫌になった。ダイエットが目的で、都内のスポーツジムに入会。65歳のときだ。

グループレッスンは最初、全くついていけなかった。他の会員を横目で観察しながら、後ろのほうで筋トレしたり、踊ったり。見よう見まねだった。
でも、「こんな楽しい場所があったのね」。5年かけ、15キロ減を達成。痩せて筋力がつくと、できることが増え、のめり込んだ。70歳で泳げるようになった。
79歳。パーソナルトレーニングも受けるようになった。今も指導を続けるトレーナーの中沢智治さん（46）は「心が動けば、体が動く。諦めなければ、よくなる。そういったことを近くで見せてもらった」と話す。

中沢さんに誘われ、87歳のときにインストラクターとしてデビュー。ジムで、高齢者施設で、運動を指導して回った。
「無理しちゃだめだけど、諦めないで。1ミリでいいから続けてね」と声をかける。体の衰えを感じているシニアや、運動が苦手な人の気持ちがわかる。
コロナで対面の指導はかなわなくなった。運動不足になりがちな昨今。動画を配信したところ、30代の女性にメールをもらった。「人生を諦めていたけど、思い直した」。今の原動力は「誰かを元気に」だ。
夜が明ける前に起き、散歩4キロとジョギング3キロ。背筋を伸ばしてテレビを見て、つま先立ちでトイレに歩く。結果が必ずついてくるトレーニングが楽しい。
食事制限はしない。重視するのは朝食で、納豆、ヨーグルト、魚や卵、野菜をたっぷりと。発酵食品とたんぱく質を意識してとる。昼はバナナなどで済ませ、楽しみの晩酌は赤ワイン2杯と作り置きしたおかず。大福も好きだ。

「我慢はストレス。小さなものもためません」。やりたくない時は休む。細かく目標を立て、地道に続けると習慣になると信じている。今は「1センチだけヒップアップしたい」そうだ。
最近、英語の勉強を始めた。コロナが収束したら各国に足を運び、一人でも多くの人の健康に役立ちたい。「始めるには遅すぎる」。こんな言い訳、この人には通じない。
https://www.asahi.com/articles/ASP693RC2P5VPTFC00D.html